Liberty, Equality, Coloniality: Building up colonial educational system in Taiwan

YAMAMOTO Kazuyuki

  • PublishedMay, 2015
  • Binding精裝 / 21*15 / 352pages / 單色(黑) / 日文
  • Publisher國立臺灣大學出版中心
  • SeriesJapanese Studies Series 17
  • ISBN978-986-350-072-8
  • GPN1010400524
  • Price NT$800
  • Paper Books San Min Books / wunan / books.com.tw / National Books / iRead / eslite / TAAZE /

日治時期臺灣近代教育制度的形成受到哪些影響?
如何使臺灣步上殖民地化的歷史進程?


本書的課題是解釋臺灣近代「殖民地性」的教育制度在哪些歷史條件影響下形成。本書關注1890年代在日本「內地」教育界討論的教育「自由與平等」、「國家與地域」問題,也檢討1890年代在「內地」日本與「外地」臺灣雙方教育制度的形成過程。在這些考察成果上,試圖具體地解釋臺灣近代教育制度在各式各樣的時代因素下,最終獲得「殖民地性」的過程。

台湾の近代的教育制度は、いかなる歴史的条件に規定され、「植民地性」を帯びたものとして形成されるに至ったのか。本書では、台湾が日本の植民地となった1890年代に日本「內地」の教育界で議論されていた、教育の「自由と平等」、「国家と地域」をめぐる議論に注目し、1890年代における「內地」日本と「外地」台湾の双方における教育制度形成の展開過程について検討する。そのうえで、台湾の教育制度がさまざまな時代要因のなかで、結果として「植民地性」を付与されるに至るプロセスを、具体的・実証的な視点から明らかにする。

山本和行

1977年日本國大阪府出生。京都大學教育博士。現任天理大學人間學部總合教育研究中心教職課程准教授。專攻臺灣教育史、殖民地教育史、日本近代教育史。

1977年、日本国大阪府生まれ。天理大学国際文化学部中国学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修士課程、同博士後期課程修了。博士(教育学)。現在、天理大学人間学部総合教育研究センター教職課程准教授。専門は、台湾教育史、植民地教育史、日本近代教育史。

序論

第一章 1890年全国教育者大集会の議論と国家教育社の結成

第二章 国家教育社の活動とその変遷

第三章 地域における「国家教育」をめぐる動向―宮城県と石川県を中心に―

第四章 1895年の台湾領有と「新領土」への関心―国家教育社員の渡台―

第五章 台湾における教育制度の形成―学校設置政策を中心に―

第六章 台湾への教育勅語の導入

第七章 台湾総督府による教育制度形成に対する台湾住民の「受容」

結論

文献目録(本文中に引用・参考したもの)

あとがき

人名索引

本書の課題
 
台湾の近代的教育制度は、いかなる歴史的条件に規定され、「植民地性」を帯びたものとして形成されるに至ったのか。これが本書で明らかにする課題である。
 
1895年、日清戦争勝利の成果として、日本は台湾を領有した。しかし、日本による台湾領有は、その開始当初から自明のこととして台湾を「植民地」として統治することになっていたわけではない。日本による台湾領有は、明治新政府にとってみれば、自由民権運動に象徴される長年の反政府的運動をようやく鎮圧し、帝国議会の設置、帝国憲法の制定、地方自治制度の確立を経て日清戦争の開戦へと至る、近代国民国家としての体制を整え、「帝国」への第一歩を踏み出した矢先に起こった出来事であった。「領台当初の約一〇年間は、一方で、台湾人の根強い武装蜂起に対する鎮圧戦争を遂行しながら、他方で、統治方針の基調をめぐる、試行錯誤が繰り広げられた時代であった」と指摘されているように1、日本による台湾領有は、「武装蜂起に対する鎮圧戦争」が継続されていた状況のなかで、台湾の位置づけと統治の方向性を模索するところから始められなければならなかった。
 
このような時期に日本が台湾を領有したという事実は、その後、「内地」という呼称が定着する日本での近代教育制度の形成過程においてどのような意味をもち、さらに、「外地」と呼ばれることになる台湾における教育制度の形成過程においてどのような意味をもつことになったのだろうか。
 
本書では、1895年という時代的な偶然性のもとに日本が台湾を領有したという事実を問題化し、「内地」日本と「外地」台湾の双方における教育制度形成の展開過程に視点を据えることで、台湾の教育制度がいかにして「植民地性」を付与されるに至ったのかを明らかにする。